株式会社アイティフォー

実証事業が導いた新サービス! 「デジタル遺品」の課題に挑むデジシェアの軌跡

 人生100年時代、私たちはかつてないほど多くの「デジタル資産」を抱えて生活しています。ネット銀行の口座、暗号資産、サブスクリプションサービスに加え、SNSアカウントやポイント・電子マネーなど、多岐に渡ります。これらのデジタル化されたサービスは便利である反面、本人以外は把握が難しいというリスクを孕んでいます。もしもの時、家族がこれらの情報にアクセスできず、大切な資産が凍結されたり、意図しない課金が続いたりしてしまうトラブルが急増しています。
 地域金融機関や地方自治体向けに長年、業務システムを提供してきた株式会社アイティフォーは、熊本県が主催する「令和5年度DX公募型実証事業」の先端枠に採択され、ブロックチェーン技術を活用した「電子終活ノート」アプリの実証事業を実施しました。今回は、熊本県での実証を経て2026年4月に正式リリースを控える「デジシェア」の実証から実装へと至る軌跡と、サービス詳細をご紹介します。

実証から実装まで

 「デジシェア」の発端は、2022年に開始された「Digital Safe(デジタル金庫)」の計画に遡ります。翌2023年には、熊本県が主催する「令和5年度web3等先端技術を活用したDX実証事業」に採択され、熊本県、九州フィナンシャルグループ、肥後銀行の協力のもと、実証事業用に開発したβ版アプリ「電子終活ノート」を用いてスタートしました。
 実証事業では、実際にユーザーがスマートフォンのアプリを使って、資産情報や大切な人へのメッセージの登録を行い、もしもの時にいかにして「安全」かつ「確実」に情報を届けることが出来るかという検証を行いました。
 実証事業を通じて得られた示唆の一つは、「終活は高齢者だけのものではない」ということでした。デジタル資産が散逸しているのは若い世代も同様であり、情報を整理するツールとしてのニーズを把握しました。これを受け、正式リリース版ではターゲットを高齢者に限定せず全世代へと広げました。
 また、実証事業をきっかけに多くの金融機関や自治体と終活に関する対話の機会を得て、実証事業終了後も継続して議論を重ねるうちに別の課題が見えてきました。世の中には金融機関や自治体が提供する有用な終活・資産継承サービスが数多く存在します。しかし、それらの多くは一般の方にとって親しみにくく、活用までの心理的ハードルが高い現状にあります。そのうえ、この様なサービスがあることを知る機会も限定的になっています。

 そこで私たちは終活ノートアプリをただ提供するというモデルから、広く興味を持たれやすい資産整理機能を起点に、金融機関や自治体と連携してライフプランニングを支えるプラットフォームサービスの提供へと、ビジネスモデルを大きく変更して開発を進めてまいりました。
 実証過程で得られた知見を反映し、UI/UX(操作性や顧客体験)の改善、金融機関のセキュリティ基準に準拠した環境構築、登録可能項目の変更、ブロックチェーン活用方法の見直し、サービス運用基盤の構築など、ユーザーの皆さまにとって便利で安心なサービスとなるよう、準備を進めてきました。地方自治体・地域金融機関・先端技術が融合し発足した「熊本モデル」の終活支援サービスが、2026年4月の正式リリースという形で結実しようとしています。

デジシェアのサービス概要

 「デジシェア」は、自分にとって大切な情報をデジタルで安全に保管し、指定した相手に最適なタイミングで共有できるプラットフォームです。エンディングノートを単にデジタル化しただけのものではなく、その価値は大きく4つに集約されます。

1.「資産」から「想い」まで、網羅的に記録
 多岐にわたるデジタル資産を一括して管理します。預貯金や不動産といった「資産」はもちろん、クレジットカードやサブスクリプションなどの「支払い関連」の情報、デジタル機器のIDやパスワード、「葬儀・お墓の希望」等に関する「身の回りのこと」、さらに大切な人へ宛てた写真や音声・動画による「メッセージ」まで、フォームに沿って幅広く記録できます。スマートフォンアプリによりスキマ時間に記録できるので、手書きのエンディングノートにはない手軽さを実現しました。
 また、人は病気やケガ、災害といった「もしも」の事態に直面した時や、結婚・出産、住宅の購入といった「大きなライフイベント」を迎えたときに、自分の状況や持ち物を顧みて、誰かに託すことを強く意識するものです。そのような「大切な人を想う瞬間」に、情報を遺すための第一歩として、軽やかに始められるツールを目指しました。

2. ブロックチェーンによる「真正性」の担保
 従来のクラウドサービスと異なる点は、万が一のデータ改ざんを内部で検知できる仕組みを備えている点です。金融機関の厳格な安全対策基準(FISC※等)を目標とした運用と、基盤技術には、株式会社chaintopeが開発したエンタープライズ向けブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を採用しています。「誰が、いつ、何を記録したか」をデジタル上で証明する技術の組み合わせにより、大切な情報を生涯安心して託せる環境を実現しています。
※FISC安全対策基準:一般社団法人金融情報システムセンター(FISC)が策定する、金融機関の情報システムに関するセキュリティ対策の指針のこと。

3. 項目ごとに選べる「共有タイミング」の自由度
 従来のエンディングノートは「最後にすべてを見せる」ものでしたが、デジシェアでは項目ごとに共有タイミングを「即時」「逝去時」「指定日時」の3つから細かく設定できます。例えば、普段から知っておいてほしい「ペットの飼育方法」は即時共有、生前には見られたくない「遺言書の保管場所」は逝去時に共有といった使い分けが可能です。受取人は複数人指定でき、一人ひとりに「どの情報を・いつ見せるか」をパズルのように組み合わせることができます。
 また、逝去時の情報開示は、提携する金融機関などが公的な事実(死亡診断書等)を確認してシステムに登録することで初めて実行されます。「意図せず情報が漏れる」という不安を解消し、適切なタイミングで確実に想いを届ける仕組みを整えています。

4.ライフプランに寄り添う、パーソナライズされた情報配信
 デジシェアは単なる情報の保管場所ではありません。情報の整理を通じて見えてきた自分に必要な「将来への備え」に対し、提携する金融機関や自治体から、一人ひとりに最適化された支援情報がプッシュ通知で届きます。例えば、資産の整理中に相続への不安を感じている方には金融機関から「資産継承の相談会」のご案内を、終活登録を進めている方には自治体から「行政の終活支援サービス」の情報をお届けします。必要な時に、信頼できるパートナーからのアドバイスをダイレクトに受け取れる。この「情報の整理」と「具体的な解決策」を繋ぐプラットフォームとしての役割が、デジシェアの提供する新しい安心の形です。

今後の展望

 「デジシェア」は正式リリース後、地域金融機関や地方自治体などとの連携を深め、各パートナーの戦略に合わせた柔軟な活用による全国展開を目指します。
 例えば金融機関では、専門的なコンサルティングへの「入口」や、既存サービスの満足度を高める「付加価値」としても活用いただけます。自治体においても、住民と行政をつなげるデジタル窓口(ハブ)として、コスト削減と住民の利便性向上を両立する「行政DXの要」へと進化させてまいります。
 デジタル資産を抱える現役世代から、想いを託したい高齢層まで。デジシェアは、特定の世代や目的に縛られることなく、あらゆる人が日常的に「大切な情報を整理し、信頼できる機関とつながる」ための社会インフラを目指します。熊本から全国へ、そして世代を超えて安心をつなぐ新しいサービスへと進化を続けてまいります。

デジシェアお問い合わせ窓口
メール:support-digishare@itfor.co.jp
電 話:03-5275-7903

会社概要

社名 株式会社アイティフォー
本社所在地 東京都千代田区一番町21番地 一番町東急ビル受付12階
代表者 代表取締役社長 坂田 幸司
創業 1972年12月
年商 205億円 (2025年3月期)
従業員数 495名 (2025年3月31日現在)
事業内容 ・金融機関向けソリューション
・公共機関向けソリューション
・小売業/EC事業者向けソリューション
・キャッシュレス決済ソリューション
・コンタクトセンターソリューション
・セキュリティ・基盤ソリューション
・システム導入後の保守、運用を提供するカスタマーサービス