医療法人社団仁誠会
医療・介護サービスにおけるDX取組事例 ~医療法人では西日本初となるDX認定取得~
仁誠会様は、熊本県内で医療・介護サービスの提供を主事業とし、複数のクリニックと施設を運営する医療法人です。デジタル技術の急速な発展により、大きく変容する医療介護業界の環境へ適応するため、積極的にDXに取り組んでいます。医療法人として全国で2例目、西日本で初のDX認定を取得された経緯、DX化の現在の取組についてご紹介いたします。
DX認定取得の経緯
■成長戦略としてITを取り入れ、デジタルトランスフォーメーション推進計画を策定
仁誠会様は2000年代から院内ネットワークを構築し、IT化を進めてきました。2009年に電子カルテを導入、2018年に透析支援システムと電子カルテの一元化を実施。これにより業務効率化が加速しました。バックオフィスの非合理的な部分から順にデジタル化によるペーパーレスを進め、成長戦略としてITを取り入れることを決定。2023年9月、デジタル技術の活用で患者さん・利用者さん・家族・地域の信頼とサービスの更なる向上を目指し、未来を見据えた仁誠会「デジタルトランスフォーメーション推進計画」を策定しました。本計画の実践、取組みは全国で2例目、西日本では初の医療法人でのDX認定を取得することが出来ました。
■※DX認定とは?
DX認定制度は、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度
医療現場・事務・情報管理部門が一丸となってDX推進
■DXの推進体制
理事長直下にDX推進委員会を設置。介護医療からそれぞれ若手事務主任を通じて、現場の要望をヒアリングする体制を構築しています。組織全体でDXという言葉の定義が曖昧になっていたため、まずは言葉の整理を実施。医療DX及び病院DXを共通言語とし新しい企業風土を創る方向性を決めました。
従来、現場ヒアリングでは業務改善の声しか出てきませんでしたが、方向性を定めたことにより、業務改革の声が上がるようになりました。ヒアリングの仕方を工夫することで、徹底的に現場から要望を吸上げ、現場・事務・情報管理部門が一丸となってDXを推進しています。
また、現場の要望に加え、DX推進委員会メンバーが他施設の見学を行うなど、積極的に医療現場のデジタル化を調査しています。
DX推進のメリットと課題
■メリット
当法人の透析医療では、電子カルテとは別に医療機器を管理する透析支援システムが使われています。しかし、元来これらのシステムはそれぞれの専用パソコンで操作する必要があり、場合によっては同じ内容の入力をそれぞれのシステムに記録せざるを得ない状況も生じ大変煩雑な業務を余儀なくされていることもありました。これらの煩雑さはセキュアな環境のもとネットワーク一を元化することでほぼ解消でき時間効率の面からも大きな前進になったと思います。この効率化に伴い一部ペーパーレスの実現など管理方法の変更によっても業務の負担が減少し、効率化が実現したことを実感しています。さらに、現場職員のITに対する抵抗感も解消されました。二度手間、反復作業、単純作業や人の手を必要としない仕事をなくすことで、患者とのコミュニケーション時間を以前よりも増やす機会となっています。DX認定の取得を目指すことで、DX推進の機運が醸成され、全員が同じ方向を向くことができ、良い機会となりました。
■課題
デジタル化の推進に伴い、情報セキュリティへの対策が課題だと考えます。情報インシデントが発生した場合、システム復旧に莫大な費用がかかり、信頼の回復に多くの時間を要する事が想定されるため、未然に防ぐ対策は必須です。セキュリティソフトやハードの面を充実させるだけでなく、職員の教育とリテラシー向上は必須だと認識しており、今後継続して取組まなければならないと課題意識を高く持っています。
DXの具体的な取組
■バックオフィス業務のDX化の例
■今後のDXへの取組:3つの戦略
デジタルトランスフォーメーション推進計画の3つの戦略に沿って、徐々にDXを加速させる予定です。
① 「患者さん、利用者さん満足度向上」
段階的に患者さん、利用者さん向けに、高速Wi-Fi設備
や、VR技術を導入し治療中、施設利用中に快適に過ご
すことができる機会提供を目指します。
② 「職員満足度向上」
在庫管理システムの導入で作業進捗を可視化し、全体の
生産性向上を目指します。
③ 「データ活用」
個人の健康リスクを早期に把握し、患者さんの透析ニーズ
やリスクの予測および予防ケアの提供を目指します。
※掲載は一例ですので、下部リンクから、是非「デジタルトラ
ンスフォーメーション推進計画」をご覧ください。
DXの展望
■今後の方向性
様々な情報が行き交う今の時代では、デジタル化やデジタル化した情報を利用し応用していくことは、企業が継続していくために必要不可欠な要素と考えています。我々は「デジタルトランスフォーメーション推進計画」の内容を一つでも多く実行することを目標にDXを進めていく予定です。すぐに着手できるもの、長期的な目線で徐々に変更していくものを分けて実行を検討します。
計画は、3年、5年を見据えて作成しましたが、情報収集は怠らず常にアンテナを張り続けていく体制づくりが必要です。計画実行の際は、世の中と医療業界の変容のスピードに置いていかれないよう、着手から運用開始の期間を意識して取り組もうと考えています。「患者さん」、「利用者さん」、「従業員」、「データ」の4つのキーワードを基に、「IT化で深まる患者様との信頼とサービスの向上」実現に向けて、今後もDX推進に取り組んでまいります。
会社概要
名称 | 医療法人社団仁誠会 |
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住所 | 〒861-8043 熊本県熊本市東区戸島西2-3-10 |
創業 | 昭和56(1981)年 8月1日 |
代表者 | 理事長 田尻哲也 |
事業内容 | ・内科診療 ・人工透析 ・介護老人保健施設 ・通所リハビリテーション ・有料老人ホーム ・小規模多機能 ・訪問介護 ・居宅介護支援 ・訪問看護ステーション ・企業主導型保育園 |