熊本県 荒尾市

荒尾ウェルビーイングスマートシティ ~ 「暮らしたいまち日本一」 への挑戦 ~

 荒尾市は、熊本県の西北端に位置し、北は福岡県大牟田市、西は有明海を隔て長崎県・佐賀県に面する、東西約10キロメートル、南北約7.5キロメートル、総面積は57.37平方キロメートルとコンパクトなエリアでなだらかな丘陵が起伏する人口5万人の市です。全国に先駆けて、国土交通省のスマートシティ先行モデルプロジェクトに選定され、「荒尾ウェルビーイングスマートシティ実行計画」に基づき、ヘルスケア・モビリティなど様々な分野で地域サービス向上を目指す取組みを進めています。今回は、産学官連携によるヘルスケアデータの蓄積・分析・利活用を可能とする仕組みを構築し、暮らしたいまち日本一を目指す荒尾市の取組みを紹介します。

取組概要・背景

 高齢化やそれに伴う社会保障費増大などは、現代の日本における大きな社会課題の一つです。荒尾市においても、2023年7月現在、高齢化率36.46%と3人に1人以上が高齢者であり、2030年頃には75歳以上の人口がピークを迎えると推定されていることから、財政に依存することなく健康サービスを継続的に提供できるモデルが必要となっています。
 さらなる人口の減少によって、産業の担い手不足、地域経済衰退、医療費高騰、交通機能低下、空き家増加といった様々な問題がでてくることが想定されます。そのような問題に対し取り組むべき課題(重点戦略)を「第6次荒尾市総合計画」で明確にし、「荒尾ウェルビーイングスマートシティ実行計画」に基づき、ヘルスケア・モビリティなど様々な分野で地域サービス向上を目指す取組みを進めています。

「あらおスマートシティ推進協議会」の設立

 2019年8月に、多様な先進技術の連携により、住民が最先端のウェルビーイング(心身ともに健康で幸せな状態)を享受できる快適未来都市の創造を目的に「あらおスマートシティ推進協議会」を設立しています。また、荒尾市南新地地区をリビングラボと位置付け、ニューノーマル時代の新サービス創出拠点を目指しています。

荒尾ウェルビーイングスマートシティの取り組み

 目指す未来の具現化に向けて、南新地地区ウェルネス拠点整備事業と連動しながら、未来の日本のスマートシティの先進事例を創り上げ、全国の地方都市の手本となる活動を進めています。
 ヘルスケア、エネルギー、モビリティ、防災・見守りの各分野にて、荒尾市の課題解決に繋がる各種サービスの導出と実装を目指して取組を進めており、並行して、パーソナルデータエコシステムなどのデータ利活用の仕組みを導入し、データの相互利活用による分野間の相乗効果の創出も進めています。

具体的な取り組み事例

■【ヘルスケア】 健康で長生きできるまちへ
 先進技術やデジタル技術を活用して、市民に健康への気づきを与え、健康的な生活習慣へと変容を促し、ウェルビーイングの向上を目指しています。

■【ヘルスケア】 令和4年度熊本県DX公募型実証事業における取り組み
 令和4年度の熊本県DX公募型実証事業において「ウェアラブルセンシング、電子カルテなどの連携による健康データの可視化プロジェクト」が採択されています。IT企業、医療機関と連携した「健康状態の見える化(医療データと健康データを健康管理アプリ上で本人・家族へ共有)」への取組みは、県内で初めてマイナポータルと連携し、他の医療機関と情報連携を実現した事例として取り上げられています。
 当初はアプリ操作に抵抗感を持たれる患者様が一定数いましたが、使ってみると非常にシンプルな操作であり、自身の医療情報が見られることに非常に満足であるとのコメントや、各マスコミで同取組を放映後、視聴者から使用希望の反響も数多く寄せられています。

■【ヘルスケア】 「健康長寿まちづくりに関する連携協定」の締結
 また、2023年9月、荒尾市・大学・医師会・民間企業など産学官6者間連携による「健康長寿まちづくりに関する連携協定」を締結しました。
本協定に基づき、市民の認知症や脳卒中などの「将来の疾病リスク」および生活習慣病に関連する「現在の体の状態」の可視化と、一人ひとりに適した生活習慣改善のサポートを行うヘルスケアサービスを2024年1月から開始します。

■【エネルギー】 ゼロカーボンシティへの取り組み
 荒尾市では、「石炭のまち」から新しい「エネルギーのまち」へ転換し、2050 年までに荒尾市から排出される温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すため、
2021(令和 3)年 3 月に「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。また、三井物産及びグローバルエンジニアリングの民間2社が出資・設立した地域新電力会社「有明エナジー」と連携し、電力の地産地消、最適利用の取組を推進しています。

 市公共施設で使用する全ての電力を再生可能エネルギー由来の電力で賄う『自治体版 RE100』の取組として、市庁舎・市民病院で使用した電力から発生した二酸化炭素に対し、J-クレジットを購入し無効化を行った結果、約 99%の二酸化炭素排出量の削減を達成しました。
 太陽光発電と蓄電池を活用し、避難所や災害対策本部などのBCP対策と、平常時はピークカットに使用し、電気料金を削減するエネルギーマネジメント事業を三井物産、グローバルエンジニアリング、有明エナジーと官民連携で実施し、使用する電力を大幅に削減しています。

■【モビリティ】 快適に移動することができるまちへ
 路線バスやタクシーを補完する新たな公共交通機関としてAIを活用したオンデマンド型相乗りタクシー「おもやいタクシー」を2020年10月から運行開始しています。
 市内全域どこでも乗降でき、誰でも利用可能です。また、相乗りを前提としているため利用料金は通常のタクシーの半額程度です。使用する車両は電気自動車で、電力の地産地消(地域新電力から供給される電気で充電)と脱炭素化にも貢献しています。

■【防災・見守り】 安心して暮らすことができるまちへ
 小中学生1人1台所有している教育用(GIGAスクール)タブレット端末の位置報を活用し、登下校見守りのデジタル化・効率化を目指しています。また欠席などの届出をオンライン化して、人手不足が懸念される教職員の事務効率化も同時に検証します。

 人口約5万の荒尾市も少子高齢化の課題に直面していますが、美しい自然と都市機能がバランスよく整っており、「暮らしたいまち 日本一」になるという大きな目標を掲げています。そのためにも、健康寿命の延伸と健康格差の解消の実現、ウェルビーイングの向上を目指し、健康で長生きできる仕組みづくりや介護給付費の増加抑制など市の財政健全化に向けたモデル構築に向け、様々なプロジェクトを開始しています。今後の取組みにぜひご期待ください。

熊本県 荒尾市(2023年11月末時点)

人口:49,690人、世帯数:24,009戸
面積:57.37平方キロメートル

ホームページ(荒尾市)