熊本県 あさぎり町学校給食センター

給食費徴収管理システム導入による事務の効率化

1.課題・導入のきっかけ 

あさぎり町学校給食センターでは、あさぎり町内の小中学校6校、約1,500人の給食を提供しています。それに伴う給食費の徴収業務に関して、学校ごと、生徒ごとの情報は、アクセス(Microsoftのデータベース管理ソフト)で管理を行っており、下記に挙げる主な課題がありました。

【課題①:情報管理】
生徒情報は学校ごとに管理しており、年度初めの生徒情報の更新は、学年が上がるごとに全ての新学年、新入生情報はデータベースを直接修正していました。また、給食費の請求先は保護者なので兄弟姉妹がいる生徒は保護者名で名寄せする必要がありました。例えば、A小学校とB中学校に通う兄弟がいた場合、データは学校ごとに存在する為、請求データが2つとなり、それを防ぐために複数のデータベースを確認して1つの保護者に対して1つの請求データを作成するよう名寄せする必要がありました。

【課題②:人員不足】
本作業を2名で行っており、年度始めの1~2週間程度の期間で完了する必要があり、作業が間に合わず残業しなければならないこともありました。

【課題③:その他関連業務】
その他にも、月々の給食費引落し用のデータ作成、未納明細・督促状の作成等はアクセスのデータを基に個別に作成していました。
令和2年度まで「私会計」で運用してきたあさぎり町の学校給食費を令和3年度より「公会計(※)」に変更することを機に、事務を合理的かつ、効率的に処理することを目的として「給食費徴収管理システム」導入を検討に着手しました。公募を実施し、審査の上、九州デジタルソリューションズ株式会社(以下、KDS)のシステムの導入を決めました。決め手は、金額面と要求水準を満たしていたことに加え、以前から導入していたKDS「収納代行サービス」との親和性、また、クラウドで提供するSaaSのシステムであり、今後のシステムバージョンアップの際も比較的容易である点等が挙げられます。

※公会計:学校給食費の公会計化とは、学校給食費収入と食材費支出を学校会計管理(私会計)で管理するのではなく、町の予算に計上し、管理すること。

2.取り組み内容と導入効果

導入までにかかった期間は、公募から6ヶ月程度で、KDSと協議しながら作り上げました。導入効果としては、年度初めのデータの更新作業(新入生情報の登録は除く)、保護者の名寄せ作業は、生徒情報をシステム上で一元管理できることで、事務負担が大きく軽減しました。また、これまで個別に作成していた給食費引落し用データや未納明細・督促状はシステム側で自動作成でき、徴収管理業務の効率化・経理面の透明性向上に大きく寄与しています。

3.今後の課題

システム運用後に見えてきた課題(当初のシステム要件外)も多くあり、今後の運用改善も含めシステム機能の向上も図りたいと考えています。例えば、徴収金額の一部のみ支払った場合の管理(内金管理)が現状システムに機能が未搭載のため、システム内の備考欄等に記載し外側で管理している点です。また、引落・振込以外の給食費の支払方法(窓口での払い込み)は現状給食センターでの受付のみで、システムによる納付書発行は行っていないため、町役場での支払いができないという問題もあります。

今後、町役場と協働で機能追加やデータ連携向上による課題解決を図りたいと考えています。これらの実現には、システム的な機能の向上のみではなく、町(行政)と一体となったDX改革が必要であり、引き続きDX化を推進していきます。