佐賀県 小城市

AI・OCR,RPAを用いた住民サービス向上、働き方改革への貢献

取組概要

佐賀県 小城市では、業務のデジタル化を推進し、職員の単純かつ定量的な事務の負担軽減を行うことで、業務効率化を行い、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていくことを目指しています。

本業務では、自治体DX(Digital Transformation)推進計画に掲げる重点取組事項のうち、AI(Artificial Intelligence)・RPA(Robotic Process Automation)の利用推進に基づいて、AI-OCR(AI-Optical Character Recognition)・RPAの導入による効果検証により課題の抽出を行い、BPR(Business Process Re-engineering)を推進することで、限られた経営資源の中で持続可能な行政サービスを提供し続けていくために、業務効率化を行うことを目的として取り組んでいます。

取組の経緯、抱えていた課題について

令和3年度にAI-OCRとRPAの概要や導入事例等について職員へ周知したものの、資料だけを見てもAI-OCRやR PAがどういうものか見当がつかない、自分の業務へ適用できるかわからない、今の業務のやり方には適用できない ためAI-OCRやRPAは不要などと捉えられていることがわかりました。また、膨大な量の業務を抱えている一方で、間違いがあってはいけないとの考えから新しい技術の導入には消極的な職員も多く、いかに職員の理解を得られるかが課題となっていました。

RPAは人間の指示通りに動作するため、単純なヒューマンエラーが発生することはなく、AI-OCRを活用すれば読み取り箇所の画像と読み取り結果が並べて表示されますので、入力ミスを削減することができます。これらを組み合わせて導入することによって、むしろ間違いを減らすことができると期待していたため、職員には導入には前向きに考えてほしいと思っていました。

自治体職員である以上、何回も部署を異動しており、たくさんの種類の業務を経験しています。そのため、まずはAI-OCRとRPAを業務で活用した事例を多数作り、それらを披露することで、現在抱えている業務にも活用できる可能性を職員自身に考えてもらうことを目標としています。

どのような取り組みを行ったか

単にAI-OCRやRPAのシステム導入だけではなく、以下の手順に基づき一連の取組を行っています。

①業務プロセス等の見直し
業務マニュアルが作成されていない業務もあるため、業務フローの現状分析を行い、現状分析の結果を元に、業務効率化手順の検討を行い、業務プロセスの見直しを行いました。

②環境構築
職員が利用するAI-OCR、RPA、シナリオや帳票定義を保管するためのNAS及びシナリオ作成画面の録画のためのUSB-HDMI変換デバイスを調達し、環境を構築しました。

③作成業務(ガイドライン、AI-OCR帳票定義、RPAシナリオ、その他ツール)
シナリオの作成方法は一つではなく、考え方次第でいくつもの方法が利用できます。作り方・作成者の考え方によっては、引継ぎを行ったものが非常に見づらいものとなる可能性があったため、導入当初よりシナリオ等の作成・運用に関する方針や注意事項、優先順位、命名規則等を記載したガイドラインを作成しました。導入時点から統一的な考え方により作成されているため、職員同士で教え合う際にもスムーズに教えることができています。
また導入効果が高く複雑な工程がある業務については、業者によるシナリオ・帳票定義の作成を行い、非常に高い導入効果が得られています。

④効果検証
作成業務で作成したシナリオ等を用いて、導入前と導入後の業務内容・作業にかかる時間・コスト等について比較・分析し、導入効果の検証を行います。また、各検証結果をとりまとめて導入効果を客観的に判断できるように整理する予定です。

⑤開発・運用支援
職員によるシナリオ等の開発・運用を促進するため、操作方法や構築アイデア等について、職員からの問合せに対応し、アドバイスやサポートを行う体制を構築しました。週に1度定期的に訪問を行い、日頃の質問などをこの機会に受け付けています。始めのうちは1回の訪問で4時間程度のサポートを受けていましたが、慣れてくると徐々にサポート時間が減ってきたため、職員の理解度向上につながっていると思います。

⑥職員研修の実施
職員(最大300名程度)に対して、製品概要や操作方法等についての研修を行いました。研修は2種類実施し、先端技術に興味のある職員へは概要説明は簡潔なものとし、残りの時間は実際の操作画面を用いて操作体験を行いました。それ以外の職員に対しては概要説明と庁内での活用事例の紹介を行いました。
研修は集合方式とオンライン方式で行うことで、テレワークやどうしても窓口対応等で席を外せない職員に配慮し、参加できなかった職員にはアーカイブ動画をYouTubeで閲覧できるようにすることで、多くの職員が研修に参加できる体制を整えました。

工夫した点

OCRのフォーマット、RPAのシナリオ作成を業者に委託すると、読み込む帳票、データ投入する庁内システムが変更になった場合、業者へ都度変更の依頼を行うことになるため、即時の対応ができません。また、変更内容の規模に応じて費用が必要となるため、予め予算を想定しにくいという問題がありました。

併せて、職員は数年ごとに人事異動があるため、特定の有スキル者にシナリオ作成を任せると、担当者の人事異動に伴い有スキル者が異動した際に使えないシステムとなる可能性が高くなることが予想されます。

そのため、今回の導入では各課で有スキル者を複数人育成すること、分からない所はサポートしてもらえる仕組みを設けることで長期の安定運用を実現できるように工夫しました。

また、申請書などの様式は、県ごと、自治体ごとに若干フォーマットや記載内容は異なりますが、基本的な部分は同じであることから、既に存在するシナリオを有効に利用できるように、LGWAN上で他の自治体との連携を行えるよう、スマート自治体プラットフォーム上のコミュニティサイトを活用して帳票の共有や情報交換を行っています。

得られた効果

本業務は、令和4年8月より令和5年3月末までの期間で実施しており、現在は庁内を横断的に説明会及び操作説明を実施し、自動化に適する業務の抽出、自動化のためのシナリオ作成、及びシナリオ作成/修正ができる人材の育成を行っています。

適用対象業務として、「放課後児童クラブ入級申請受付業務(教育総務課)」「後期高齢者医療保険料還付業務(国保年金課)」「年末調整入力業務(総務課)」の3業務について先行的に実施していますが、作業時間の短縮などを実感しており、一定の成果は出ていると感じています。(定量的効果は今後の検証で明らかになる予定です)

AI-OCR・RPAの導入により、職員の労働時間短縮による働き方改革への貢献、窓口業務の効率化による住民サービスの向上に貢献できると期待しています。

小城市

面積 95.85K㎡
総人口 44,423人(2022年8月31日現在)
所在地 〒845-8511 佐賀県小城市三日月町長神田2312番地2
職員数 約464名 (会計年度任用職員を除く)

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