株式会社古荘本店
地域企業をリードする先進的なデジタル化への取り組み
株式会社古荘本店(本社:熊本市)は、明治10年創業と長い歴史を持ち、「地域に根差した商社」として、本業である繊維総合卸事業に加え、アパレル事業、ICTソリューション事業、ファシリティソリューション事業、モバイルソリューション事業まで、幅広く事業を展開しています。これまで時代の変化に合わせながら、デジタル技術を積極的に取り入れ、「感動共創」の経営理念実現に向けた様々な課題に迅速に対応しています。当社のデジタル活用への先見の明とその取り組みを紹介いたします。
古荘本店が進めるデジタル化とアナログの融合
商品供給量の増大やインターネット販売の拡大等、多角的な事業展開に伴う状況変化の中、従来の方法のみでの企業の成長が困難になっていました。売上が伸び悩み、加えてコストが増加する中、業務効率化と生産性向上、そして低コスト運営の実現が求められました。このような背景から、デジタル化の推進が求められるようになりました。
一方で、古荘本店の経営理念である「感動共創」に基づき、お客様に高い価値提供と感動体験を届けるために、「アナログ」な部分、つまりお客様と直接対話する時間を増やすべく、「デジタル」の力を活用していきました。しかしながら、巨額の投資をすることは難しく、いかに効率的にデジタル化を進めるかが重要な課題でした。そこで、補助金等を活用しながら、工夫と戦略を用いて効率よくデジタル化を推進していきました。
取組内容と効果
■基幹系システムのクラウド化
「いつでもどこでも必要な情報にアクセスできる」という柔軟な業務環境を構築するため、基幹系システムをクラウド化しました。もちろん、初期投資としてのコストは必要でしたが、運用コストの削減、保守に費やす人員コストの削減、より効率的なシステム管理が可能となったことを総合的に考えると、そのメリットは十分に得られています。
さらに、当社はネットワーク環境の整備にも力を入れ、全従業員にノートPCとスマートフォンを配布し、インターネット環境さえあれば従業員はどこにいても社内の情報にアクセスすることが可能となりました。
■Google Workspace導入による全社情報の集約と共有化
Googleが提供するグループウェア「Google Workspace」を導入し、日報の確認から経費精算、給与明細確認、売上の進捗確認まで、業務に必要な情報を集約・共有化するポータルサイトを構築しました。導入前は職場でしかできなかった業務が、外出先等隙間時間で作成可能になり、作業効率が大きく向上しました。また、新型コロナウイルスの影響下で在宅勤務が必要となった際、既に全社的な情報共有と連携を可能とする環境を構築していたため、スムーズに対応することができました。
■ペーパーレスの推進
元々印鑑文化が根強く、稟議書などの重要書類は各拠点から郵送され、紙と印鑑による回覧と承認が行われていました。しかし、経費管理や勤怠管理をシステム化することで、これらの業務をペーパーレス化し、電子管理に一気に移行することができました。このシステム化によって、紙の使用量は大幅に削減、稟議フローも電子化され、郵送や回覧にかかっていた時間が必要なくなりました。この結果、業務が格段にスムーズになり、効率的な時間の使い方が可能となりました。
■効果的なデジタルマーケティング戦略の展開
かつては大手ECサイトで製品を販売していましたが、現在では自社で独自のECサイトを設立しています。自社サイト設立により、エンドユーザと直接つながることで、詳細な顧客情報や購入データを自社で収集し、それを後続のマーケティング戦略へ活用しています。さらに、LINEを活用したマーケティングツールを導入しました。紙やメールに比べて開封率が高い点を利用して、効果的な商品プロモーションを展開しています。
■ICTチームによる地元企業向けDX化支援
自社のDX推進の経験を活かし、「法人事業」部門の中に設置したICTチームは、システムベンダとの連携を通じて地元中小企業向けにシステム構築、様々なソリューションを提供するDX支援を行っています。連携しているシステムベンダも増えてきており、その結果、提供できるソリューションの種類も増えています。
デジタル化の推進、組織への浸透のプロセス
デジタル化は今の時代、企業にとって必須の課題であり、その導入を検討する際には現状維持に固執するのではなく、新たな取り組みを導入する意義と価値を理解することが重要です。投資判断は一般的には費用対効果を基に決定されますが、これだけでは新たな取り組みを始めることが難しく、また、急速に進化する現代社会に対応することも難しいと言えます。
古荘本店では、導入時に考慮する指標として、費用対効果だけではなく、将来的な人材不足や競合他社との激しい競争といった、明確に見えないリスクを考慮することで、先進的なデジタル化を推進してきました。さらに、経営陣からのトップダウン的な指示だけに依存せず、現場からのボトムアップ的なアプローチによる導入もあり、現場の意見を柔軟に取り入れる企業文化もデジタル化推進の原動力となっています。
また、システムやツールを導入するだけではなく、その後の利用を促進するというステップも重要となります。経営層が自分自身でツールを積極的に使うことで、変化が組織全体に必然的に浸透し、その推進速度も加速します。そのためには、経営層やマネージャー自身が取り組むプロジェクトの意義と効果を正確に理解し、それを部下に伝達することが必要です。さらに、利用状況の定期モニタリングやログ解析を通じて、デジタル化の本来の目的を達成しているかを評価し、必要な改善を日々行うことが重要と考えています。
今後の展望
先端技術の採用は企業の進化と成長を続ける上で不可欠な要素です。企業内の各部署はそれぞれ固有の仕事を担当しており、それぞれにフィットする新技術を導入することで事務の効率化や生産性の向上が実現できます。その結果生じた時間を顧客との交流に充て、顧客満足度が高まることを目指しています。DX支援事業を事業領域の一部として位置づけている古荘本店にとって、デジタル化やDXの推進は欠かせない取り組みとなっています。今後も地域のリーディング企業として、他をリードする存在であり続けるため、DXのアプローチを持続的に行っていきたいと思っています。
会社概要
会社名 | 株式会社古荘本店 |
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住所 | 〒860-8608 熊本県熊本市中央区古川町13 |
創業 | 明治10(1877)年 |
従業員数 | 262名(パート・アルバイト含む) |
代表者 | 代表取締役社長 古荘貴敏 |
事業内容 | 総合アパレル事業 ICTソリューション事業 ファシリティソリューション事業 モバイルソリューション事業 |