株式会社杉養蜂園

市場環境やお客様のニーズの変化に適応したデジタル活用・DXの取り組み

 株式会社杉養蜂園様は熊本市に本社を構え、蜂蜜ローヤルゼリー・プロポリス等の製造及び販売、化粧品の製造及び販売を主たる事業とする企業です。国内だけでなく、香港、タイ、ベトナムといった海外にも複数の店舗を設置し、グローバルに事業を展開しておられます。
 会員登録やECサイトでの商品販売など様々なシーンで直面する経営課題や環境の変化に対して、DXを活用して適応してこられた事例をご紹介します。

市場環境と経営課題の変化

インバウンドの増加
 杉養蜂園様の海外会員登録は2014年から2019年までの5年間で22倍に急増し、会員登録の多言語化や免税受付、海外からの注文処理など、様々な場面で海外向けの対応が急務となっていました。こうした海外向け対応はスムーズに進むことばかりではなかったそうですが、デジタルツールを活用した粘り強い改善の取組によって、売上増加や海外店舗展開までつなげる成功事例となりました。

外国人の会員登録
 当初は紙への手書きによる会員登録を行っており、外国人の方の会員登録にも対応できる様に登録用紙を多言語対応させました。しかし、登録内容を手入力で転記する際に、筆記体等の文字が読めない等の問題がありました。そこで、申込手続きを電子化してお客様自身で入力できるように、多言語プラットフォーム「Salesforce」を用いたタブレット入力システムの開発・導入に踏み切りました。現在は、スマートフォンを利用した入力システムの開発を行い、更に外国人のお客様の会員登録が便利になるよう改善を続けています。

免税手続き
 外国人観光客のインバウンド需要の増加により、外国人観光客の店頭での購入機会が増え、手作業で行っていた免税対応は非常に事務の負担となっていました。そこで、免税電子化システム「eあっと免税」を導入。はじめから全店展開するのではなく、まずは数店舗でのスモールスタートで運用テストを行い、2015年に一気に全店舗へ拡大展開しました。機会を逃さずタイムリーに対応したことで、インバウンド集客へ大きな効果が生まれました。

海外からのメール注文
 インバウンド需要の増加に伴い、店頭だけではなく、海外からの通販需要も高まりました。当初はメールで個別に注文対応していましたが、注文手続の負担が大きく、越境専用ECサイトのパッケージシステムを導入しました。しかし、同システムでは海外在住の外国人のお客さまの注文には対応できても、国内在住の外国人への多言語対応や、海外在住の日本人への対応が不十分な面がありました。そこで、国内と海外で同じサービスを提供するために、2020年に国内・越境ECを統合し、多様なお客さまの注文に対応できるようになりました。

デジタルとアナログを融合させた会員登録方法を確立

会員登録作業の負担増加
 店舗数の拡大に伴い、国内外問わず会員登録数が順調に増加しましたが、その結果バックオフィスでは会員登録作業の負担が増加し、残業や休日出勤を余儀なくされていました。こうした事態を解消するために、入力方法の変更や新たなツールの導入など、何度も試行錯誤を経て業務時間の削減や効率化に取り組みました。課題解決をあきらめることなく探求し続けることで、技術進歩に伴い解決できることが増えていきました。

会員登録作業の見直しの変遷

DX導入のポイント

DXを進める上での考え方
 同社は、第一次産業から第三次産業まで事業領域が幅広く、経営課題も多岐・広域にわたります。何を優先してどのように課題解決していくのかは経営トップが判断することになります。DX導入はあくまでも課題解決の1つの選択肢であり、「はじめからツールから入って『なにか使える業務がないかな』という導入方法は絶対にとらない」という強い考えで取り組んでいます。

導入のポイント
 杉養蜂園様では、次の3つのポイントを重視して、DX導入にあたっています。
 ①変化に対応して、即時に、または粘り強く対処する。
 ②DX導入の対象業務について、効果を優先するのか、効率を優先するのか見極める。
  強み業務:効果優先・・・強みを生かした独自の仕組みを追求し、カスタマイズ可能な製品を活用
  標準業務:効率優先・・・一般的な仕組みであり独自性を出す必要はないことから、パッケージ製品を利用
 ③スモールスタートして、PDCAで大きく育てる。

今後の展望

 杉養蜂園様では、2007年の時点では既に通販システム・CRM・販促システムを導入するなど、経営トップが率先してDX導入を実施していた下地がありました。当初から存在していた文化を活かし、現在まで継続してDXに取り組み続けてきました。
 DXは漫然とツールを導入するのではなく、導入後も効果を検証し、改善し続けることが肝心です。PDCAサイクルでは、P(Plan)とD(Do)はしっかりやれても、C(Check)がおろそかになるケースが往々にして見られます。杉養蜂園様では、適切なKPIの設定や分析ツールの活用によって、きちんと導入効果の測定を行い、今後もお客様の利便性向上や業務改善に向けて繰り返しサイクルを回していくことを目標としています。

会社概要

会社名 株式会社杉養蜂園
住所 〒861-5535 熊本市北区貢町571-15
資本金 830万円
従業員数 500名 (グループ全体)
設立 1971年9月13日
代表者 代表取締役社長 米田弘一
事業内容 蜂蜜ローヤルゼリー・プロポリス等の製造及び販売、
化粧品の製造及び販売他

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