天草池田電機株式会社
遠隔監視・自動制御による生産性向上と産学官連携によるDXの推進事例
取組概要
天草池田電機株式会社は、熊本県上天草市にある、自動制御装置・通信機・家電機器・遊戯機器等の内蔵用マグネットリレーの開発製造を行っている会社です。マグネットリレーのほか、ELIランプや高速道路注意喚起スピーカー等の開発製造も行っています。
今回は、補助金を有効活用したシステム導入による同社の生産性向上の取り組み、および産学官連携した商品開発の事例をご紹介します。
補助金を有効活用したシステム導入による生産性の向上
【課 題】
天草池田電機では、主力事業であるマグネットリレーの生産を、自動機による生産ライン方式で行っています。自動機の稼働には圧縮エアーが不可欠で、エアー供給のためにコンプレッサーを必要とします。
工場から離れた場所にコンプレッサーを設置しているため、リアルタイムな監視・遠隔操作ができず、吐出・吸気温度が高い状態が連続した場合や、消耗品の交換忘れ等で自動機が緊急停止し、意図せず生産が止まってしまうことが課題でした。
【取り組み内容】
この問題を解決するため、天草池田電機は、「ものづくり産業等デジタル化推進補助金(熊本県産業支援課)」(※)を活用し、遠隔監視・操作システム型コンプレッサーを導入しました。
導入したシステムにより、コンプレッサーの稼働状況をリアルタイムで監視し、必要に応じて遠隔操作が可能となりました。また、部品交換時期や異常発生の情報をリアルタイムで入手できることによる故障の未然防止や、工場内の負荷状態に合わせた自動制御により省エネ化を実現しました。
【導入効果】
これまでコンプレッサーの運転操作に1日2時間程度を要していたのに対し、自動運転により操作時間がゼロになり、1日に2時間、年間で約500時間の省人化が実現されました。また、コンプレッサーの稼働状況、消耗品交換時期等をリアルタイムで把握でき、異常停止を未然防止できるようになったとのことです。
補助金と産学官連携を活用したシステム開発
天草池田電機では、産学官連携を活用した新しいシステム開発にも注力しています。熊本大学、九州大学、熊本高専等の研究機関と共同で研究開発を行い、新しい技術や知識を取り入れることで、製品の品質向上や生産効率の向上にもつなげています。
また、令和2年度には大学等の研究機関に加えて、事業管理機関やアドバイザー等と共同でシステムの研究・開発を行うプロジェクトチームを構成し、「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」(※)と呼ばれる補助金にも採択されています。
新たなシステム、商品・サービスの開発には、技術や知識を持った人材や、開発資金といったリソースが必要となります。その分野で活躍する企業や大学等の研究機関と連携することや、補助金を活用することで、新しい技術や製品を開発するためのプロセスをスムーズに進めることができます。
今後の展望について
更なる生産性向上の施策として、製造工程における紙ベースの指示書から電子による指示書への切替を検討中とのことです。
電子指示書を導入することで、大規模な紙の使用枚数削減につながり、環境面、コスト面に大きな効果が見込めます。
また、作業者が作業指示や加工条件などを瞬時に連携・確認できることによる作業効率の向上や、製品の生産履歴をデータベースに記録することで、製品の品質管理や品質改善も期待できます。
今後は、上記取り組みをはじめとした生産性向上、業務効率化や、新たな商品の開発による企業価値の向上を目指しているとのことです。
※ 今回天草池田電機様が利用された補助金の他にも様々な種類の補助金があります。
補助金を活用したDX推進について紹介しています。下記リンクよりご覧ください。
会社概要
会社名 | 天草池田電機株式会社 |
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住所 | 〒861-6102 熊本県上天草市松島町合津2101番地 |
資本金 | 5,890万円 |
従業員数 | 195名(令和5年3月1日現在) |
設立 | 2002年5月21日 |
代表者 | 池田 博文 |
事業内容 | 一般用電磁リレー、車載用電磁リレー、照明機器の設計・開発及び製造・販売 |