【令和4年度】DX公募型実証事業③
株式会社スカイマティクス×株式会社岳×天草市役所×天草高校
「ドローン、AI画像解析技術などの活用による『農地の営農状況の現地確認作業』のDX化プロジェクト」

1.目  的
 行政DX・業務効率化を目指した「農地・営農状況調査」へのデジタル技術の活用
 【参加企業】株式会社Skymatix(IT企業)、株式会社岳(ドローン企業)、天草市(自治体)、天草高校(教育機関)
 
2.内  容 
 ●農地の営農状況確認プラットフォームの構築
 ●ドローンで撮影した画像を、AIで自動判定による市の営農状況判定の大幅省力化
 ●天草高校での授業の実施、ドローン操作研修の実施による次代の人材育成
 
3.技術要素 
 ①農地の営農状況確認プラットフォームの構築
  ・オンライン地図( GIS)サービスに各情報を蓄積
  ・AIによる画像認識技術を活用、判定データ蓄積による判定精度の継続的向上
 ②ドローンの活用
  ・低コストで入手が容易な汎用型ドローンの活用

4.効  果 
 ①市における営農状況確認作業の大幅省力化、データベース化
   想定:737時間➝194時間(543時間削減/年)
 ②デジタル人材の育成にも寄与
 
5.今後の展望(参加企業代表:株式会社スカイマティクス)
 営農状況だけでなく、生産している農産物の自動判定等も機能追加していきたい。
 また、今回の「中山間地域等直接支払い」だけでなく、「経営所得安定対策」など他の分野での現地調査にも活かし、更なる行政業務の効率化を目指す。
 なお、次世代育成については、地域課題に対する先端技術の活用の視点で、引き続き学校教育等で取組んでいきたい。

6.コンソーシアムでの横展開の可能性
 ①ドローンやAIの様々な分野における積極的活用
 ②オンライン地図(GIS)サービスを活かした情報共有の展開

取組概要

ドローン、AI画像解析技術などの活用により、天草市役所が毎年実施している「農地の営農状況の現地確認作業」のDX化を実施します。農地のドローン撮影のほか、行政データ(税、農政)の連携による地図データの自動作成、空撮画像からAIを活用した耕作作物を自動判別するアルゴリズムの開発を行います。また、地元の天草高校との連携により、業務の見学や研修会を実施し、将来のデジタル人材育成の契機となることを目指します。

取組の経緯、抱えていた課題について

天草市役所は農水省の補助事業である「中山間地域等直接支払交付金」、「経営所得安定対策」の運用にあたり、農地の営農状況の確認作業を毎年現地確認により実施しています。両調査合わせて年間200人日以上を費やしており、大きな負担となっておりました。夏場の調査も多く、健康リスクがある上、人手不足により将来的に現行の手法を維持できなくなるリスクも抱えておりました。
株式会社岳は天草市内に本社を置き、ドローン空撮やドローンスクール運営などを手がけております。撮影の請負だけではなく、地域課題を解決するデータ活用ビジネスへの参入に意欲を持っております。
天草高校はスーパーサイエンスハイスクール指定校として天草サイエンスクラスを設け、教育活動の一貫として天草市の課題解決を目指す探究活動に日々取り組んでおります。しかし、実際に最先端技術に触れ、課題解決の現場を見聞きする機会は限られておりました。

プロジェクト取組内容

ドローンで撮影した画像をAI解析をすることで農地の作付状況を判定するとともに、調査結果を地図上で記録、管理する農地管理DXプラットフォームの構築を行います。具体的な取り組みとしては下記の通りです。

・天草高校での課外授業
 天草高校の生徒が将来のデジタル人材になる契機とするため、天草市役所が抱えていた課題、それに対する解決策、活用した技術について講義を行います。課題の仮説設定、最先端技術を活用した解決策の立案や実行について学ぶ機会を提供します。また、ドローンの操作研修を実施し、生徒がドローン撮影をする上での基礎知識を習得します。

取組み実施の結果得られるであろう効果

・天草市役所による地図作成、現地確認、結果入力など一連の業務工数を7割以上削減できることを見込んでおります。また、毎年継続的に農地の撮影を行うことにより、荒廃農地の早期発見をし、農地バンクへの登録、新規就農を後押しすることができる。
・株式会社岳はAI画像解析に資する画像撮影の経験と技術を獲得することができ、一連の取り組みから様々なプレーヤーとのデータ利活用を通じたソリューション提案力を獲得できます。
・天草高校は実際にドローン撮影を経験し、撮影によって取得したデータがどのように地域課題の解決に活用されるか身を以て知ることができます。最新技術を地元の貢献につなげる意識の醸成も期待できます。

現在の状況について

実証の取り組みは予定通りに実施しており、農地地図の生成やドローンの撮影、AI判定は既に完了しております。既存の現地確認手法と比べ具体的にどの程度効率化が図られたのか、AI判定の精度について現在整理を行っています。また、一連の実証の経過を天草高校での講義に反映予定です。

今後の展望について:事業者からのコメント

 今回の実証の結果を踏まえてより効率化を図れる工程がないか更に改善に取り組んでいきたいと考えております。また、「中山間地域等直接支払い」だけでなく、「経営所得安定対策」など他の分野での現地調査にも活かし、更なる多くの行政業務の効率化を目指したいと考えております。

実施主体

【株式会社スカイマティクス】
デバイスフリーのリモートセンシングで得られる画像・データを統合し、地理空間情報と時系列情報も含めて処理解析が可能な「時空間解析プラットフォーム」を構築、提供しています。ドローンデータとAIにより作付調査を効率化。 現場見回り、レポーティングなど農業管理業務の圧倒的な省力化を実現します。

【天草市】
毎年実施する「農地の営農状況の現地確認作業」において「調査基準のばらつき」や「細い農道や危険な山間部への立ち入り」「調査員の高齢化」等の課題を解決するため、スーパーサイエンスハイスクール指定校に認定されている天草高校と共にプロジェクトに参画。 最先端技術で地域課題の解決を目指します。

【株式会社岳】
天草市内に本社を置き、ドローンによる空撮事業やドローンスクールの運営等を手掛ける。 その豊富な空撮技術を生かし、今回のプロジェクトでは人が入ることが難しい中山間地等での空撮を実施します。

令和5年度の募集について

熊本県ではこのようなDXの先進的な実証事業を令和5年度も募集いたします。
詳しくは下記リンクを参照ください。