【事業報告】「灯す、つなぐ、動かす。
熊本デジタルリーダーズ・アカデミー
~変革を導く次世代DX人材育成プログラム~」

事業目的
企業がDXに取り組む際には、予算や体制面の制約に加え、社内にDXを担う人材が不足していることや、何から着手すべきかわからないといったノウハウ面の課題が大きな障壁となっていました。
こうした課題を踏まえ、本事業では、県内企業・団体が自ら課題を整理し、デジタル技術を活用したDXの実装へと着実につなげていくことを目的として、研修カリキュラムを通じ実践的なDX人材の育成に取り組みました。

事業内容
全4回の集合研修と個別フォローによるステップアップ型カリキュラム
本事業では、全4回の集合研修と個別フォローを組み合わせたステップアップ型カリキュラムを通じて、DXを「理解する」段階から「現場で使い、動かす」段階まで、一貫した支援を実施しました。

研修内容
●生成AI(ChatGPT、Claude等)や
ノーコードツール(AppSheet)の実習
●業務プロセスの見える化と課題抽出、改善提案の策定演習
●自社課題をテーマとしたワーク・宿題形式での実践力向上
● 研修終了後も現場で活用できる業務改善案を完成

募集結果
●対 象:熊本県内企業・団体
●申込社数:38社
●受講社数:24社
事業結果
①研修アンケート
本研修は回を重ねるごとに参加者の理解度と実践意欲が高まり、最終アンケートでは、
「とても満足」39.39%「満足」60.61%と、回答者のすべてが「満足以上」と回答しました。
〔主な意見〕
・「課題整理」および「実行計画設計」を通じて、自社の業務課題を具体的に捉えてDXの取り組みを
実践レベルでイメージできるようになった。
・生成AIやデジタルツールの活用を業務改善に結び付けるワークが大変参考になった。
・全体を通じて適切な難易度だった。本アカデミーを通じて様々な学びを得る事ができた。

②DX診断結果
研修の効果を把握するため、各企業のDX推進度を測定
しました。
研修前後の結果を比較すると、全体のスコアが向上し、
参加企業におけるDX推進度の向上が見られました。
特に、「デジタル技術の活用」「ビジネスモデルの改革」
において改善幅が大きく、業務改善やデジタル活用の取り
組みが具体化したことが分かります。
一方で 、「DX人材の育成」「DX推進体制の整備」の
改善幅は比較的小さく、組織的なDX推進基盤の強化には
引き続き課題が残る結果となりました。

個社取組事例紹介
(1)西日本食品工業株式会社
<目指す姿>
個人の引き出しから会社の資産へ
文書管理をデジタル化し、月約37時間削減と情報の資産化を実現
■背景となる業界の課題
食品製造業においては、品質管理や衛生管理に関する文書が膨大に発生し、その保管・管理が大きな負担。
法令で定められた保存期間への対応も必要な中、紙ベースでの管理は検索性の低さや紛失リスクなど、
多くの課題を抱えていた。
■DX実現の決断に至った経緯
文書管理業務の「属人化」と「物理的な手作業負荷」を解消するため、文書管理のデジタル化を決定。
月間約37時間の工数削減と「情報の資産化」を目標に掲げた。
現状の業務フロー及び課題を可視化し、効果的な改善手法を検討

■具体的な問題点
・検索・活用の非効率 - 紙のまま処理・保管、倉庫の段ボールから探すのに膨大な時間がかかる
・物理的な手作業の発生 - 処理済み文書の箱詰め・移動の手作業がコア業務時間を圧迫
・属人化とリスク - 文書が物理的に分散、情報がバラバラで管理困難、紛失・破損・漏洩リスクも存在
●取り組み内容
生成AI(Gemini API)とノーコードツール(AppSheet)の活用
✔FAX・メール文書の自動分類と構造化データ化
✔AppSheetを活用した文書管理GUIの構築
✔全文検索が可能な文書検索システムの構築
●ポイント
★検索時間を「数秒」に短縮し、文書探索の効率を向上
★ノーコード活用により、専門知識がなくても運用可能な体制を実現
★文書保存のシステム化により、紙保管や箱詰め作業を削減
●本事業を通じて得られた学び・展望
本支援事業を通じて、クラウドツールの導入・活用方法を体系的に学び、クラウドのメリットや具体的
な活用イメージを明確に理解できました。
また、自社の業務フローに置き換えて業務を見直した結果、改善ポイントが明確となり、Gemini API
を活用した自動化により月間約37時間の工数削減を見込んでいます。これにより、若手社員を書類管理
業務から解放し、品質管理などのコア業務に注力できる体制を整えていきます。
今後は、文書デジタル化によって蓄積したデータを活用し、需要予測や生産効率の向上につなげること
で、全社的な生産性向上の文化を醸成していきたいと考えています。
(2)医療法人 杉村会 杉村病院
<目指す姿>
意思決定を早く!業務を軽く!
稟議書申請のデジタル化により工数50%削減を目指す
■背景となる業界の課題
医療機関においては、患者対応や医療業務が最優先される中、事務管理業務の効率化が後回しになりがち。
特に稟議申請などの内部承認プロセスは、紙ベースの運用が続いている施設も多く、承認者の不在時に業務が
滞るなど、組織運営上の課題となっていた。
■DX実現の決断に至った経緯
稟議申請における非効率を解消し、承認プロセスの可視化と迅速化を実現するため、クラウドシステムの
実現を決定。稟議申請のデジタル化により、50%の工数削減を目標に掲げた。
現状の業務フロー及び課題を可視化し、効果的な改善手法を検討

■具体的な問題点
・紙ベースの稟議申請 - 差し戻しの際に再度印刷が必要、書類の所在や承認状況が見えない
・Excel管理表への手入力 - 稟議書の管理表がExcelのため、申請ごとに手入力が必要
・承認者不在時の遅延 - 承認者が病院に不在の場合、確認や印鑑押印ができず申請に遅れが発生
●取り組み内容
ノーコードツール(kintone)の活用
✔クラウドシステムによる稟議申請・承認フローの構築
✔差し戻し時の修正・再申請をシステム上で完結する運用の整備
✔スマートフォン・PCから承認可能なクラウド環境の構築
●ポイント
★稟議申請から理事長承認までをシステム上で完結
★プロセスの可視化により申請〜決裁のスピード向上
★ペーパーレス化による紙使用量の削減
●本事業を通じて得られた学び・展望
今回の支援事業を通じて、「問題」と「課題」の違いについて理解を深めるとともに、課題解決に向けた
フレームワークを構築することの重要性を学ぶことができました。
また、クラウドツールの活用により業務効率が大幅に改善され、申請から決裁までに数日、場合によっては
1週間以上かかっていた時間の削減や生産性の向上に繋がることを期待しています。さらに、場所を選ばずに
業務を行える環境が整うことで、部門長のワークライフバランスの向上にも貢献できると考えています。
【医療法人 杉村会 杉村病院】
業 種:医療機関
従業員数:14人
(3)株式会社野島鉄鋼店
<目指す姿>
分散する社用車情報の一元化・Web化による属人化解消と工数70%削減
■背景となる業界の課題
鋼材販売・加工施工業界では、営業・配送を支える社用車の管理が重要な業務である一方、車両情報や
契約内容、点検履歴をExcelや紙で管理するケースが多く、情報の属人化や確認作業の煩雑化が課題となって
いた。
また、リース・買取など契約形態の多様化や法令対応の強化により、管理工数の増加や点検・申請漏れ
といったリスクが高まっていた。
■DX実現の決断に至った経緯
株式会社野島鉄鋼店では、社用車情報をExcelで管理し、特定の管理者に業務が集中することで、問い合わせ
対応や案内業務に多くの工数を要していました。これらの課題を解消し、業務の効率化と管理リスクの低減を
図るため、社用車情報の一元化・Web化による車両管理業務のDX実現を決断しました。
現状の業務フロー及び課題を可視化し、効果的な改善手法を検討

■具体的な問題点
・Excelによる社用車情報管理と特定管理者への閲覧集中による問い合わせ増加
・社用車の契約形態が複数存在することによる確認業務の煩雑化と車検・点検案内の負荷
・車検・点検実施忘れやリース車再リース申請漏れの発生リスク
●取り組み内容
車両管理システム(e-ADVICE)の活用
✔社有車の車両情報を一元管理するクラウドシステムの導入
✔車検・点検スケジュールの登録による管理体制の整備
✔各拠点から車検・点検完了報告を登録できる運用の構築
●ポイント
★社有車情報の共有による社内問い合わせの削減
★車検・点検対象車両の月次管理による業務効率化
★実施状況の可視化による点検・車検の実施漏れ防止
●本事業を通じて得られた学び・展望
今回の支援事業を通じて、DXに向けた取り組みのステップを体系的に理解することができました。業務の
棚卸しを行い、自社業務にDXをどのような手順で適用していくかの具体像を描けたことが大きな成果です。
また、実践的な研修内容により、業務改善への活用イメージを持つことができ、実際に取り組んだ結果、
業務量を約70%削減するなど大きな効率化につながりました。
今後は、社内にDXの種をまき、全社でDXの種を育て、「業務効率化」や「コスト削減」、「顧客サービスの
向上」といった果実が収穫できる様取り組んで行きたいと思います。また、DXの取り組みサイクルを確実に
回すことで効果の最大限化、DX取り組み領域の拡張に取り組んで行きます。

