株式会社アネシス
アナログな建築現場の変革に挑む ~AXからDXへ~
株式会社アネシス様は、熊本・福岡を拠点に、新築住宅やリフォーム、リノベーション、小売事業、不動産事業や メンテナンス事業、まちづくりと、住環境に関する分野において「生涯続くお客様の幸せを創っていく」をミッションに、地域に密着した事業に取り組んでいます。加速する世の中の環境変化を受け、建設業界に待ち受ける課題にDXによる取組みについてご紹介させていただきます。
DXに取り組んだ背景
家を1軒建てるのに携わる職人さんの数は約160人にものぼります。
しかし、現在、建築業界では職人さんの高齢化が問題となっており2025年には約90万人不足するといわれています。
このままのやり方ではいけないという強い危機感のもと、今のやり方ではない、全く違った形へ変わる必要があると感じました。アナログが蔓延している現場のDXへの挑戦を開始しました。
まずは社内のDXを!
まず、社内のDX に向けて3STEPで取組を実施しました。
1期:「デジタイゼーション」~アナログ デジタル時代~
(1)IT 推進を行う部署を新設、社外から専門人員を採用
経営層にて、DXを進める意思決定を実施し、これを全社員に対して通達(トップダウン)しました。会社の戦略の本気度を表現するためにも、IT推進部署新設による組織変更とデジタル専門の人材採用を実施しました。
(2)各種アナログシステムのデジタル化を推進
管理職含む全ての社員が、新しいシステムに移行して業務を行うことで、強い意志と覚悟を持って強制的にデジタイゼーションを起こしました。
2 期:「デジタライゼーション」~デジタル群雄割拠時代~
(1)組織図の変更
全社でDX のビジョンを策定し、IT 担当部署をDX推進室と改め、ビジョンを目指すための組織として上位に配置しました。さらに、 ITを経営戦略の一部として捉えなおし、全社最適化の実施を決定しました。
(2)システムの棚卸を実施
全体の業務フローが円滑に流れるシステムになるよう、全体的な視点から再構築の検討を始めました。
ビジョンと、そのビジョンを達成するためのロードマップをしっかりと引くことが必要だと捉え、本当の課題を社員と共に考え、中には、辞めるシステムの判断も行いながら、新しいシステムへの統合を進めました。
3期:「デジタルトランスフォーメーション」~ DX 時代の幕開け~
(1)更なるDX推進のスケールアップを目指した組織の変更
新システムへの移行等、DX推進の業務が根付いたことにより、社内でもDX関連の業務への希望者が増加しました。そこで、社内システムの更なる内製化及びDX推進に力をいれるため、社内から募集しメンバーを増加しました。さらに、社内SE = システムエンジニアではなく、社会問題を解決できるエンジニアを目指し、ソーシャルエンジニアとして定義付けし、社内 SE を配置する体制を整備しました。
(2)全体の業務フローが円滑に流れるシステムを構築
全社の業務フローの見直しを実施し、職種やアクセスするツール(システム)は違ってもデータベースは同じであること(一元化)、システム(データベース)が連携することを最重要として、全てのデータが連携できるシームレスなフローを作成しました。
社内の次は現場のDXへ
アナログな現場を一気にデジタル化させることは困難です。そのためスモールステップアップで進めていきました。
最初は一番身近なデジタル機器、スマートフォンの活用から挑戦しました。
現場の職人さんの平均年齢は高く、ガラケーを使用している職人さんも多くいらっしゃいました。その職人さんに対しまずは ガラケーからスマホへ変更をしてもらい、これまで普段、釘を打っているその指でスマホに文字をうってもらえるように進めていきました。
現場の職人さんでも身近なところからデジタル化に慣れてもらうため、まずはスマホの導入を進めました。高い普及率をほこるLINEを使用して現場とのコミュニケーションを行いました。
結果と課題
LINE やスマホは使用している人も多かったため、問題なく運用にのせることができました。これまでガラケーを使用していた高齢の職人さんからは、孫とコミュニケーションが取れるようになったと喜びの声も多くありました。
スマホの運用も軌道にのってきたのでいよいよシステムの導入です。これにより工程表の電子化や物件に関わる情報の一元化、チャットツールを用いた円滑なコミュニケーションの構築が可能となります。
システムの利用はすぐに浸透はしなかったのですが、度重なる説明会や個別フォローを実施してなんとか運用にのせることが出来ました。
特に良かった施策としては問合せ専用の電話番号を設けて即時の対応を心掛けた点でした。
結果と課題
共有のチャットを用いることにより、1現場毎の関係業者や社員間のコミュニケーション速度を格段にあげることができました。
しかし、社員(現場監督)の業務時間が減りませんでした。調査を実施したところ、現場へ行く移動時間が減っていなかったことが分かりました。
業務効率化のために導入を行いましたが、充分な結果が出ず改善策を検討することにしました。
現場での主な目的は現場の状況確認と、図面の差し替えなどが多くあげられました。そこで「現場カメラ」という常に現場の状況を映し出すカメラを導入し、遠隔地からも確認できるようにしました。あわせて職人さんに写真のUP なども依頼し、現場に行かずとも現場の状況がわかる体制を構築しました。また、図面も同様に紙から電子の図面に変更することで、作業中に発生した変更点などもリアルタイムで更新が可能な体制を構築することができました。
結果と課題
一つのシステムに頼ることなく、色々なシステムや手法を組み合わせることで、よりDXを促進できました。しかし、ここで新たな課題が発生しました。システムの利用者によって写真の枚数が少なかったり、入力内容が充分でないなど品質のバラツキが発生しました。
現場でのシステム利用品質率向上のためANDPAD CUPを開催!
どのように運用すれば職人さんの利用率向上が図れるかを話し合うため、社内でANDPAD CUPの運営チームを結成しました。メンバーはDX 担当をはじめ、アネシスグループの現場監督などで結成されました。
実施を進める中で、システムの利用率や、使い方についても大きな差があることがわかってきました。そこで、いい取組みについては全体へ対して発信を行う” グッドレポート” という取組を実施しました。
【ANDPAD CUP 概要】
目的: 現場でのシステムの利用品質と利用率の向上
対象:アネシスグループ全社員、アネシス会( アネシスの協力業者の会) や工事に関わる全協力会社( 約400 人)
対象期間:2022 年9月1 日~12 月31 日の進行案件
これらの取組みの結果、写真付き報告数が社内・社外ともに増加しました。また、職人さんからも「お客様の声を聞くことで、モチベーションに繋がる」や「前後の職人さんの存在が近くなり、前工程、後工程をより意識するようになった」といったモチベーションやコミュニケーションの向上が見られるようになりました。
【ANDPAD CUP 表彰式を開催】
今回の大会では「ANDPADの報告機能を用いて、写真を添付して報告を実施した総数」を指標として審査を行いました。また、様々な角度から表彰を行うために数々の賞を用意しました。そして、ANDPAD CUPの成果をより多くの人に共有するため、アネシスグループ全社員と関係会社の方の総勢約400名程の前で表彰式を開催しました。表彰式の様子は福岡など遠方のため当日は会場での参加ができない方のためにリアルタイム配信も行いました。表彰式の運営から配信、式の中で投影したイメージムービーなど全て自社のスタッフで執り行いました。
ANDPAD CUPの開催を通し、システムの利用品質及び利用率が大幅に向上しました。
なにより、この大会の本当の成果は、普段はお客様の目に触れない職人さん達の仕事内容を直接お客様に伝えることが出来、職人さんがお客様から感謝の言葉をいただけたということです。お客様にも日々の職人さんの仕事ぶりが伝わり、それに対するお客様からのレスポンスというコミュニケーションが生まれたことで、顧客満足度の向上と共に職人さんのモチベーションのアップにも繋がったという点が一番大きな成果でした。
DXの展望
職人さんに向けてDX に関してどのような課題があるかのアンケートを実施しました。
すると、職人さん自身の会社や所属の会社のDX が進んでおらず、何から始めていいかわからないといった声が多くありました。
横にいて色々教えてくれないと難しいという声も多くありました。そこで私達がともにDXを目指して伴走できる、新しいDX 支援の形を構築し、建築業界全体のDXを共に目指しています。
その上で重要なのは
“IT システム = ツール” だと考えています。
一番大事なのは” 人” です。
この思いを胸に、「人」を中心に共に成長し、未来という見えないものを建てていきます。
会社概要
会社名 | 株式会社アネシス |
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本社所在地 | 〒861-8039 熊本市東区長嶺南8-8-55 |
設立 | 1994年7月7日 |
代表者 | 代表取締役 加藤 龍也 |