株式会社MARUKU
LINEを活用したデジタルスランプラリーツール「mawaru for LINE」の開発
株式会社MARUKU様は、2017年に山都町に本社オフィスを設立した、地方創生ICT事業、デジタルマーケティング、デザイン、アプリケーション開発をメインとしている企業です。今回は2022年のくまもとDXアワードで「一般社団法人 熊本県情報サービス産業協会賞」を受賞された、デジタルスタンプラリーツール「mawaru for LINE」を用いたDX事例についてご紹介します。
取組概要
株式会社MARUKUは、ITを活用して熊本県を盛り上げていくことをミッションとしており、都市部だけでなく、地方を盛り上げ、地方発信による日本の活性化に貢献していきたいと考えています。
過去には、熊本復興プロジェクトのスタンプラリーやくまモン誕生祭、東大発知識集団「QuizKnock」とコラボしたクイズラリーなどを実施して、地域外からの誘客を促す企画を手掛けるなど、熊本県を盛り上げています。
これらのイベントには、自社で開発したデジタルスタンプラリーツール「mawaru for LINE」が活用されています。
mawaru for LINE とは
mawaru for LINEは、LINEアプリの機能を拡張したデジタルスタンプラリーの集客ツールです。参加者は自分のスマートフォンを使って、
① LINEの公式アカウントと友だちになる
② GPSを読み込んだり、二次元コードを読み取ったりすることでスタンプをGET
③ 指定のスタンプ個数を達成して特典に応募できる
というものです。
スタンプラリーにおける問題点と開発にいたるまで
スタンプラリー形式のキャンペーン実施方法は多く存在しますが、キャンペーン主催者側の課題として
① キャンペーン後に参加者と繋がる手段がない
② 参加者属性が分からず、マーケティングデータとして活かせない
といった問題点がありました。このため、キャンペーンの結果を踏まえた次のイベント企画や販売促進、リピーター向けの施策など、データを活用したマーケティングや最適なプロモーションができていないという現状がありました。
また、これまでも自社でデジタルスタンプラリー専用アプリをリリースしていたものの、スタンプラリーのためだけにアプリをダウンロードするというステップが手間となってしまい、参加者数が見込めないという問題点もありました。
そこで目をつけたのが、LINEをプラットフォームにしてデジタルスタンプラリーサービスを提供するというものでした。LINEは今や月間ユーザー数9,600万人(2023年9月)が利用する、生活基盤レベルの大規模プラットフォームになっており、そのプラットフォームを活用し、トークルームからスタンプラリーへの参加を可能にすることで、新規集客、回遊性・滞在時間・満足度の向上といったスタンプラリーの特性はもちろんのこと、キャンペーン一度きりで終わらない関係性を参加者(顧客)と創りあげることが可能になりました。
その他のメリットとしては以下の3点が挙げられます。
① スタンプラリー用の新しいアプリのダウンロードが不要
LINEアプリを使ったデジタルスタンプラリーのため、参加者は使い慣れたLINEのトークルームからスタンプラリーに参加することができます。
② キャンペーン中や終了後もLINEを使って情報発信が可能。
友だちとなるユーザーに向けてキャンペーンのお知らせやメッセージを発信できます。更にキャンペーン終了後にも継続的にLINEを活用した情報発信ができ、コミュニケーションツールとして活用できます。
③ 参加者属性を可視化できる
アンケート機能によって、ユーザーの属性データ収集ができます。取得データは観光・来店等のマーケティングデータとしてCRM(顧客管理)に活用できます。
デジタル化で得られた効果について
① 運営側の負担軽減
紙を使ったスタンプラリーでは、実施するにしても、スタンプラリーシートの準備や各スポットにスタンプを配る手間、盗難のリスクなど、運営側にとっては負担が大きかったのですが、デジタル化することにより、これらの問題を解消できました。
② 回遊性の向上
また、デジタル化することで、スポットの営業時間内にスタンプラリーシートを取得する必要が無くなり、参加者が自由に回ることが可能になったため、回遊性の向上にもつながりました。実際に2022年10月~2023年1月に開催された南九州3県(熊本県・宮崎県・鹿児島県)のデジタルスタンプラリーでは、全90スポットのコンプリート賞にわずか3か月間の開催で4人の応募があり、担当者も驚くほどでした。
実際に取り組んだ団体様の声
実際に取り組んだ自治体の担当者の声をいくつかご紹介します。
「紙のスタンプラリーだと、スタンプを集めた参加者がすぐに懸賞に応募できるよう、それぞれの場所に応募箱を設置する必要があり、個人情報漏えい防止などの観点からこまめに回収する手間がかかっていました。デジタルスタンプラリーにすれば、懸賞応募に関する情報はデータとして自動集計され、職員が情報を入力する必要もないため、運営側の負担は大きく軽減されました」
「キャンペーンの参加者が初めてスタンプを取得した際、運営側は氏名、住所、性別といった基本情報をデータとしてそのまま取り込むことができ、それらの基本情報を蓄積して、今後のプロモーション活動においてマーケティングデータとしても活用できました」
受賞後の取組みと今後について
現在は、スタンプラリーだけではなく、熊本県観光振興課/(公社)熊本県観光連盟と連携し、LINEの機能を拡張したデジタルクーポンブックを開発。実際に、『旅するくまモンパスポート』にも活用されています。
今後は、訪日インバウンド需要を見据えた動きや、参加ユーザーの周遊データを用いた観光マーケティングへの活用、「旅するくまモンパスポート」の機能をベースにした新しいアプリケーションの開発などに取り組み、引き続きDXを進めていきます。
取り組んだ企業の概要
会社名 | 株式会社MARUKU |
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本社所在地 | 〒861-3518 熊本県上益城郡山都町浜町53番地2 |
設立 | 2017年7月24日 |
代表者 | 代表取締役 小山 光由樹 |