【令和7年度】データ活用事例創出事業
DX推進度の可視化による中小企業の経営改善支援

1.概要
本事業は、県内中小企業のDX関連データを集約・分析・可視化する仕組みを構築し、産業振興および地域経済の活性化に貢献することを目的としています。
デジタル技術とデータ活用による地域活力の向上、および新たなビジネス・サービスの創出の実現に向け、経営情報の可視化により課題を明確化し、その後、施策の実施と効果検証を継続的に行うことが重要です。こうした一連のサイクルを実現するために、本事業では、中小企業を支援する支援機関・支援者、そして中小企業自身が自社の状況を分析・可視化できる「データエコシステム」の構築を目指します。

2.解決すべき課題・背景
熊本県内に限らず、多くの中小企業が急激な人口減少に伴う深刻な労働力不足という課題に直面しています。
この課題を解決するためには、デジタル技術の積極的な活用が不可欠です。部分的なIT化にとどまらず、経営全体を見据えた戦略的なデジタル活用が求められます。
本事業では、「経験と勘」に依存した経営からの脱却を促し、データに基づく課題の特定と解決(データドリブン経営の推進)と、そのための環境・モデルの構築を支援します。

3.取組内容
(1)中小企業データ活用の環境構築
gBizINFOから取得した法人情報と、独自に収集したDX/ESG診断データを「くまもとデータ連携基盤」上で
紐づけ、集約・公開する仕組みを構築しました。企業の状況を把握するため、「経営シミュレーションガイド」
というオンラインツールやフォームを活用し、DXおよびESGに関する診断回答を収集しました。

【活用したデータ】
・gBizINFO(政府保有法人データ)
取得方法:WebサイトよりAPI*にて取得 *リニューアル前のREST API(v1)
取得データ:熊本県内法人の「法人基本3情報」+各府省が保有する情報
・DX/ESG回答(アンケートデータ)
取得方法:「経営シミュレーションガイド」専用URLおよびFormsにて熊本県内企業から回答を収集
取得データ:DX取組状況(設問数29)+回答企業情報/ESG取組状況(設問数49)+回答企業情報

(2)可視化・支援のモデル構築
データ収集活動として、県内企業へのダイレクトアプ
ローチ、セミナー参加者へのアプローチ、および産業技
術センター等の外部機関と連携した診断回答データの収
集に取り組みました。
その後、商工会・金融機関等の支援機関との意見交換
を通じて、伴走支援モデルの構築およびデータを活用し
た企業支援のあり方について検証を行いました。

4.実施結果
(1)データ循環エコシステムの実証
・gBizINFOから熊本県内の約7万社(56万件)の法人情報を取得しデータ連携基盤に登録
・データ連携基盤から法人情報を取得し、法人番号をキーとして「きづなPARK熊本県広場」内のデータと照合、
本取組に参加いただいた法人のDX/ESGデータを基盤に登録(API、csv/Excel)
・公開データセットはスコア表示無し、基盤側データセットにはスコア表示有りとして2種類を実装
・月1回のペースで差分データを自動更新(API)

(2)収集したデータの分析
県内企業から収集したDX/ESGデータと、きづなPARK全体に集められている全国平均と比較してみると、DX、
ESGともに熊本県内企業のほうが20点ほど高い点数傾向にあることが分かりました。実証フェーズのため収集
データ件数は限定的であり、今後の継続検証が必要ですが、収集したデータの範囲においては、全国的に見て
も高い傾向があることが示唆されました。

(3)支援機関・支援者からのヒアリング
4つの支援機関(熊本信用金庫、くまもと産業支援財団、熊本産業技術センター、熊本県商工会連合会、
敬称略)との意見交換会を開催しました。合計25団体(熊本県内の市役所、商工会、商工会議所、支援団体、
民間企業)に対して、データ収集時のヒアリングを実施しました。

5.解決すべき課題に対する成果・課題点
取り組んだ2つの課題について、以下のような成果と課題が得られました。
(1)中小企業データ活用の環境構築
【成果】
・ポータルサイト内、グループ「企業・家計・経済」への新規データセット追加
・上記を用いてのデータエコシステムの実証(基盤からのデータ取得と、基盤へのデータ還元)
【課題】
・Gビズインフォ(v2)に対応するための再検証とシステム更新対応
・利用者増加に向けcsv/Excel形式での法人情報データ提供
・(DX/ESGデータ以外で)企業への支援提供時に有益なデータを追加する仕組み
(2)可視化・支援のモデル構築
【成果】
・熊本県内企業のDX/ESGスコアの傾向把握と、県内と全国の平均値比較
・支援者による経営支援ツールのひとつとしてのレポート活用の可能性
【課題】
・回答率の向上(手間の削減、回答企業や支援機関・支援者へのメリットの強化)
・現場の補助となりうるデータの提供
・可視化後の支援段階における「専門家」との連携
6.今後の展望
(1)支援に有益なデータ数・種類の増加、仕組みの拡大
本事業は、地域のさまざまな主体が連携しながら企業を支える、新しい支援の仕組みを熊本で実証した取組
です。そして、サイクル1の「きづなPARK熊本県広場」は、単なるデータの保管場所ではなく、DX/ESGデータ
を起点に、可視化→解釈→支援→蓄積というサイクルを回すことで、地域の中小企業支援を継続的に進化させる
基盤として位置づけています。
【データの可視化】
・蓄積されたDX/ESGデータを、企業の現在地を客観的に把握するための「見える化」に活用
【解釈と処方箋】
・可視化後、「次にどのアクションを取るか」まで落とし込み、補助金の活用、専門家派遣、ツール導入、
業務整理など、企業ごとの"次の一手"を示す
・専門家による「翻訳」機能により、数値や傾向を現場で使える言葉に置き換え、経営課題と支援策に
結びつける
【新しいビジネスモデル】
・データエコシステムにて、サイクル2・サイクル3と、支援履歴・業種ごとの課題傾向・成果の出た
支援パターンなどを積み重ね、分析の精度を高め、支援の質を向上させる
・企業は入力以上のメリットを得られ、支援機関は分析の質が向上し、地域全体に適切な支援が広まる
といった、持続可能な地域支援の新しい形の実現を目指す

(2)きづなPARK熊本県広場を解放、共創パートナーとともに今後の活用へ
本事業で構築した「きづなPARK熊本県広場」を、商工会・商工会議所・金融機関・自治体などの共創パート
ナーに開放し、デジタル診断でのデータを入口とした対面での対話と伴走支援をセットにした支援モデルを展開
していきたいと考えています。相談に来られる企業に対してデータをもとに向き合えると、支援の納得感と精度
が高まります。地域平均や類似企業との比較を踏まえた客観的な経営分析を可能とし、事前準備を行ったうえで
面談や支援に臨める環境を目指します。
【地域全体で支援するモデルの完成形】
構築した仕組みを「誰が・どの役割で・どうつなぐか」という視点で整理した全体像です。
フォーバルとアルサーガパートナーズがハブとなり、若手人材の育成、企業実態の調査、経営情報の可視化、
そして支援機関や専門家とのマッチングを進めることで、地域DXと企業支援を加速させるモデル地域をつくって
いくという考え方です。「システム単体」ではなく、地域のさまざまな主体をつなぎながら、役割分担をし、中小
企業支援を「面」で支える仕組みです。

中小企業は地域経済の主役であり、商工会議所・商工会・金融機関は、その最も身近な相談窓口です。支援機関の皆様に広くご活用いただき、支援者の共通基盤として根付かせていきたいと考えています。可視化された情報を通じて中小企業との新たな接点を作り、必要なタイミングで専門家や支援策へとつなぎ、地域内での継続的な支援の流れを生み出すことで、社会性と独自性を兼ね備えた地域全体支援モデルを熊本から形にしていきます。
【株式会社フォーバル】
情報通信と経営支援を核とし、中小・小規模企業の成長を総合的に支えるコンサルティング企業。情報通信分野でのIP統合システムや情報セキュリティなど、企業のIT基盤を強化するソリューション提供、デジタル化の推進を支援。経営領域では、中小企業が直面する多様な課題に寄り添い、伴走型で解決へ導くサービスを展開。
さらに近年は、DX・GX・ESGといった時代の要請に応える支援にも注力し、経営課題を可視化し改善まで継続的に伴走する「企業ドクター」モデルを用いて、生産性向上と持続可能な経営の実現を後押ししている。自治体や教育機関と連携した地域DXや人材育成など、地方創生に資する取り組みも積極的に展開中。

【アルサーガパートナーズ株式会社】
2016年に設立、システム開発、UI/UXデザイン、インフラ構築、マーケティング支援、コンサルティングなどを一気通貫で提供するDX推進企業として発足。現在は、Webシステムやスマートフォンアプリの開発を中心に、戦略立案から設計・開発・運用までをワンストップで支援する総合ITソリューション企業として成長。
自治体や大手企業とのDXプロジェクト実績が豊富で、地方創生や行政手続きのデジタル化支援など、公共領域での開発力にも定評がある。生成AIを活用した業務効率化支援やPoC開発にも注力し、先端技術をビジネス価値へと転換する実績を多数有する。
本社は東京都渋谷区、支社は福岡県福岡市、熊本県熊本市及び鹿児島県鹿児島市に設置。
