株式会社コスギ不動産ホールディングス
KOSUGI AIとRPAで業務に革新!DX推進の成功事例を徹底解剖

株式会社コスギ不動産ホールディングスは、熊本市中央区九品寺に本社を置く住生活総合グループです。不動産売買・宅地分譲・賃貸仲介/管理・資産運用など幅広い事業を展開しており、管理戸数は2025年6月末で20,292戸に上ります。グループには商業ビル管理やリゾート事業、介護、製菓なども含まれ、地域密着型のサービスを提供しています。
2021年にDX推進課を設置し、Microsoft 365※導入によるクラウド化やRPAによる業務自動化などに取組んでおり、2025年1月には経済産業省が推進する「DX認定」を取得しています。
DXに取組んだきっかけ
コスギ不動産ホールディングスのDX推進は、2021年度頃、経営層の戦略的判断のもと本格的にスタートしました。当時、大手企業が次々とDXに取り組み始めており、不動産業界でも業務効率化や顧客体験の向上に取組む必要に迫られていました。また、DXをきっかけに新たなビジネス領域を開拓する狙いもありました。そこで、既存のシステム課とは別に「DX推進課」を新設し体制を整えました。
当時、DX推進課のメンバーをはじめ、社内では「DX」という言葉自体が十分に浸透していない状況でした。そこで、DX推進課から社長に依頼し、トップメッセージを役員や幹部社員向けに発信してもらい、これにより、DXへの理解が広がり、全社的な協力を得るための基盤を築くことができました。
業務面では、「データが各所に散在している」「チャットツールの社外利用ができない」など、情報共有や業務効率に関する課題が顕在化していました。部署ごとに異なる管理方法やツールが使われていたため、情報の分断や作業の重複が発生し、社員の負担も大きくなっていました。
こうした状況を改善し、より効率的で柔軟な組織を目指すため、DX推進の取組みが始まりました。経営層の後押しと現場の課題解決への意欲により、全社一丸となって取組むことが、DXを前向きに進める支えとなっています。
DX推進課 -3年間の取組み内容-
コスギ不動産ホールディングスでは、既存のシステム課と連携しつつ、DX推進課が現場の課題を集めて優先順位をつけ、内製開発や導入時のサポートまで一貫して担う体制が整えられています。DX推進課は、既存のシステム課の社員が兼務し、2名体制でスタートしました。現在は6名体制となり、メンバーには「Microsoft Access」※などを活用した業務システムの開発を担当するエンジニアも含まれることで、内製化による迅速な対応を可能にしています。また、IT関連資格取得による個人スキルの証明、課内共有によるチーム力の底上げ、外部講習による専門性の獲得などを通してDX推進課メンバーの人材育成にも取組んでいます。
社内で新たなシステムを導入する際には、DX推進課を中心に適宜説明会を開催し、導入の目的や変更点、期待される効果について丁寧に共有することで、社員の不安や戸惑いを和らげ、スムーズな移行につなげています。
●Microsoft365の全社導入
社内に散在していたExcelファイルや各種データの管理方法を抜本的に見直し、Microsoft365の全社導入を進めました。「Microsoft OneDrive」※や「Microsoft SharePoint」※を活用したクラウド化と情報の一元管理が実現したことで、複数拠点や部門間でリアルタイムに情報共有できる環境が整い、業務のスピードと正確性が大幅に向上しました。
また、チャットツールである「Microsoft Teams」※の活用により、社内のコミュニケーションが効率化、活性化されました。
●RPA(業務自動化ツール)の活用
業務プロセスの自動化にも力を入れており、RPAの活用によって、従来は多くの人手と時間を要していた入居率集計や契約情報の転記、定例報告書作成などの定型業務を効率化しています。RPAとは、パソコン上で人が行っていた繰り返し作業やルールに基づく業務を、ソフトウェアロボットが自動で処理する技術です。例えば、入居率集計業務では、RPA導入により作業時間が約28時間から約1時間へと大幅に短縮され、必要な人員も4名から1名に削減されました。これにより、社員の負担が大きく軽減され、人的ミスの防止や、より付加価値の高い業務へのシフトが可能となっています。
●開発業務の内製化
システム開発の内製化にも積極的に取組んでおり、「Microsoft Access」※を利用して、社内の開発者を中心に現場の要望を迅速に反映した業務改善ツールを構築しています。「Microsoft Access」※とは、Microsoft社が提供するデータベース管理ソフトで、比較的短期間で柔軟に業務システムを開発できるのが特徴です。例えば、入居準備管理システムや原状回復管理システム、駐車場プレート管理、契約書作成RPA準備など、現場の課題に即したシステムを自社開発することで、外部ベンダーへの依存を減らし、コスト削減と業務改善のスピード向上を両立しています。
現場からは「社内に開発者がいるので気軽に相談できる」といった声も寄せられており、日々の業務改善がより身近なものとなっています。

●モバイルアプリの開発・導入
年に3回、全社員が600〜700棟の物件を対象に、建物の状態や設備の不具合などを確認する物件点検業務を実施しており、必要な修繕や対応につなげています。従来は、点検結果を紙の報告書にまとめて管理部門へ提出していましたが、膨大な書類の管理や情報の集計に多くの手間と時間がかかっていました。
この課題を解決するため、社内で「Microsoft Power Apps」※と「Microsoft Teams」を活用した専用のモバイルアプリを開発・導入しました。アプリでは、現場で撮影した写真やコメントをその場で入力でき、データはリアルタイムで管理部門に連携されます。これにより、修繕手配までのリードタイムが大幅に短縮された他、社員の負担軽減だけでなく、ペーパーレス化の進展によるコスト削減も実現しています。

●顧客情報管理システムデータ分析
顧客情報管理システムの導入と「Microsoft Power BI」※によるデータ分析も進めており、オーナー様とのコミュニケーションや社内情報共有の質が向上しています。折衝履歴や要望、提案内容を一元管理し、リアルタイムで分析することで、提案の粒度改善や訪問優先度の判断など、データに基づく意思決定が可能となっています。
●生成AI「KOSUGI AI」の導入
社内情報の安全管理とAI活用の両立を目指し、独自の生成AI環境「KOSGUI AI」を構築しました。外部の無料AI利用による情報漏洩リスクを回避するため、社内閉域環境で利用できる安全な仕組みを整備し、文書作成やアイデア出し、契約書要約、ブログ記事作成など幅広い業務でAIを活用しています。社内研修や利用ルールの整備も実施し、安心してAIを活用できる環境を整えています。

DX推進の成果と苦労
DX推進による最大のメリットは、業務効率化による大幅な時間削減です。RPAや内製システム、モバイルアプリの導入によって、従来は多くの人手と時間を要していた定型業務が自動化されました。DX推進開始から3年間で、RPAやAccessシステムなどの新規開発・アップグレードは合計185件にのぼり、これらの取組みによる業務削減時間は累計5,963時間に達しています。
一方で、DX推進にあたっては様々な苦労もありました。新しいシステムやツールの導入に対しては、現場から不安や戸惑いの声が聞かれました。そこで、現場への丁寧な説明を実施した他、現場の意見を取り入れながら運用ルールやサポート体制を整備することで、徐々に抵抗感を和らげていきました。例えば、Microsoft365や生成AIの全社導入の際には、各部署の役職者や希望者を対象に事前説明会を実施し、導入目的や変更点、期待される効果について説明し、スムーズな導入につなげています。

今後の展望
コスギ不動産ホールディングスでは、これまでのDX推進による成果を土台に、今後もさらなるデジタル化と業務革新を目指しています。まず、AIやデータ活用の領域では、社内FAQの自動化やOCRによるデータ自動読み取り、請求書・見積書の自動作成、市場分析レポートの自動生成など、より高度な業務自動化に取組む予定です。これにより、属人化していた知識や問い合わせ対応を標準化し、業務品質の均一化とさらなる効率化を図ります。
また、社員のITリテラシー向上やデジタル人材の育成にも力を入れ、全社的なDXの定着と組織力強化を進めていきます。グループ全体でのプラットフォーム統一や、異業種グループ企業へのDX展開も視野に入れ、データを活用した新規ビジネス創出やサービス品質の向上を目指します。
さらに、開発した業務アプリやDXソリューションの外部展開にも取組み、社外へのサービス提供や新たな収益モデルの構築にも挑戦していく予定です。セキュリティやガバナンス面でも、社内規定や運用ルールの整備を継続し、安心・安全なデジタル環境の維持に努めます。
今後も「熊本の未来をトータルプロデュースする住生活総合グループ」として、地域社会とともに成長し続けるため、DXのさらなる推進と、新たな価値創造に挑戦していきます。
※Microsoft Corporation の登録商標です。

会社概要
| 社名 | 株式会社コスギ不動産ホールディングス |
|---|---|
| 所在地 | 熊本県熊本市中央区九品寺2丁目6-57 |
| 創業 | 昭和57年7月1日 |
| 設立 | 昭和60年6月18日 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| グループ年商 | 101億円(グループ全体) 2025年9月現在 ※グループ間取引含む |
| 代表取締役会長 | 小杉康之 |
| 代表取締役社長 | 小杉周司 |
| 専務取締役 | 小杉堅太 |
| 常務取締役 | 小杉康太 |
| 従業員数 | 481名(グループ全体) 2025年12月現在 |
| 事業内容一覧 | 不動産売買、不動産売買仲介、宅地分譲、賃貸仲介、賃貸管理、 不動産証券化、資産運用コンサルタント、第二種金融商品取引業 |