株式会社Coatolie (コアトリエ)

セルフ受付システムを利用した、「お客様の利便性向上」と「生産性向上」の取組み

 株式会社Coatolie(コアトリエ)様は、洋服のお直し(補正・修理)を中心に、ドレスや着物のリメイクや受注制作などを手掛けています。
 お客様の利便性向上と従業員の生産性向上を目的に「セルフ受付システム」の開発に取組み、熊本県内の中小企業のDXに関する挑戦的な取組みや新しい成果を上げている取組みを表彰する「くまもとDXアワード2023」において熊本市賞を受賞されています。さらに、体形を3D計測できる「3Dボディスキャナの導入」等にも取組まれ、デジタル技術を活用したお客様の利便性向上や従業員の働き方改革を実現されています。

取組みの背景と抱えていた課題

■ 洋服のお直しの利用促進に向けた利便性向上
 株式会社Coatolie(コアトリエ)様は、お客様に洋服を大切に使ってほしいという思いから、洋服のお直し(補正・修理)に取組んでいます。しかしながら、お直しは日常生活で馴染みが薄く、利用経験がない方も多いというのが現状です。
 そこで、お直しがどのような取組みなのか、どのようなことができるのかを多くの人に知ってもらいたいと考えました。知らない、利用したことのない層へのアプローチとして、より気軽に便利に利用できる環境を整えることを目的に、DXの取組みを始めました。

■ 店頭対応による縫製作業の中断
 また、店舗運営におけるお客様対応に課題を感じでいました。
 これまでの店舗運営では、縫製を担当する職人が縫製作業と受付や商品の受け渡しといったお客様対応の両方をおこなっており、お客様が来店した際には縫製作業を中断して対応するため、生産性の低下を招いていました。
 また、預かりや作業の進捗状況を紙で管理しており、問い合わせがあった際には数多くの伝票から該当の伝票を探し、それをもとに商品を確認する必要がありました。そのため、お客様からの問い合わせに応じて商品を確認する業務は、非常に時間がかかり、従業員の負担となっていました。

■ 正確な採寸業務への課題
 その他にも、お直しを受付ける際の採寸にも課題を感じていました。
 まず、人による採寸では担当者によってばらつきが生じ、お直しの品質にもばらつきが生じてしまっていました。
 また、オンラインでお直しを受付ける際には、お客様自身でサイズ情報を入力します。しかしながら、お客様自身での採寸は難しい場合が多く、サイズ情報が正確でないことも課題に感じていました。

課題解決に向けた取組み 〜セルフ受付システムの導入~

■ セルフ受付システムの導入
 お客様の利便性向上と従業員の生産性向上を目指し、無人受付が可能な「セルフ受付システム」の導入に取組みました。このシステムは、タッチパネルとロッカーを利用し、お客様だけで注文と受け取りができるシステムです。
 タッチパネルを操作し、名前、電話番号、住所などのお客様情報を登録後、補正したい内容、服の種類、色柄、サイズといった情報を入力します。入力後に価格が表示され、キャッシュレス決済し、備え付けのロッカーに洋服を預ける仕組みです。完成後は、注文時に発行される暗証番号もしくはQRコードを用いロッカーから取り出すことができます。

■ 誰もが使いやすいシステムを目指して
 システムの導入にあたり苦労した点は、「誰もが使いやすいシステム」を作ることです。このシステムは、タッチパネルをお客様自身が操作することから、普段スマートフォンなどのIT機器操作が不慣れなお客様が操作に戸惑うのではないかという懸念がありました。
 そこで、実証実験を通して調整を繰り返し、数多くの問題を一つ一つ修正することで、より使いやすいシステム構築に取組みました。誰もが使いやすいシステムを作ることは非常に難しく、3か月以上という長い実証実験期間がかかりましたが、業界に理解のある技術者の助けもあり、ようやくシステムを完成させることができました。

■ 導入の効果
・お客様の利便性向上
 システムの導入で、お客様は好きな時間帯に預け入れと受け取りが可能になりました。また、ロッカーを駅周辺やショッピングモール等に設置することで、日常生活の中で気軽に洋服のお直しを利用できる環境づくりにつながっています。
・従業員の生産性向上
 無人受付が可能になったことで、従業員が受付や商品の受け渡しといったお客様対応に当たる必要が無くなりました。縫製作業に集中できるため、作業の効率化や質の向上につながっています。また、受付から輸送、縫製作業、受け渡しまでの商品状況をオンライン上で管理することが可能となり、伝票を探す手間が省け、商品状況にかかる時間の短縮につながりました。
・従業員の勤務時間短縮、人材獲得
 システムの導入は、従業員の勤務時間短縮にもつながりました。以前は、お客様対応に従業員が当たっており、開店時間から閉店時間まで勤務する必要がありました。しかし、従業員が必要な業務が縫製作業のみとなったことで、勤務時間を17時までに短縮し、以降は無人受付のみで対応しています。勤務時間が短くなったことで、これまで応募がなかった求人に主婦層などからの応募が増え、人材確保にもつながりました。

課題解決に向けた取組み 〜3Dボディスキャナの導入~

■ 3Dボディスキャナの導入
 2024年8月に、体形を3D計測できる3Dボディスキャナを導入しました。高精度のセンサーと画像処理により約3秒のスキャンで3Dボディデータを取得します。正確な採寸ができることから、お直しの質の向上につながっています。
 多くのデータを収集し、性別、年齢ごとにデータを分析することで、さらなるサービスの質の向上や新たなニーズの探求などに役立てる計画です。さらに、セルフ受付システムとも連携させ、受付時の入力項目を減らし、利便性向上にもつなげるほか、正確なオーダーへつなげたいと考えています。

■ お客様の健康管理のサポート
 3Dボディスキャナで測定したデータは、「Karada3d」というウェブサービスを通じてお客様自身で簡単に閲覧・管理することもできます。定期的に測定することで、時系列で体形データを比較でき、健康管理にも役立てていただけます。また、スキャンはセルフサービスで、営業時間内であればどなたでも測定が可能です。お直しを利用しない方も気軽に3Dボディスキャナをご利用いただけます。このようなサービスを通し、セルフケア意識の高まりによる健康管理データの需要にも対応していきたいと考えています。

今後の展望

 セルフ受付システムの取組みは、今後も拡大させていきます。自社の無人店舗の増加や、県内外で同様のシステムを必要としている企業や団体への展開に取組む予定です。
 また、縫製職人の育成にもデジタル技術を活用していきたいと考えています。セルフ受付システムや3Dボディスキャナで集めたデータの活用やeラーニングシステムの開発を通して、育成の効率化、質の向上に取組む予定です。また、デジタル技術を用いた人材育成を進めることで、外国人材や障がい者など多様な人材の育成や雇用支援の拡大、推進につなげることを目指しています。

会社概要

社名 株式会社Coatolie (コアトリエ)
所在地 〒862-0972 熊本県熊本市中央区新大江1丁目17-10 K2ビル 2F
代表者 代表取締役 大山 愛美
事業内容 洋服のお直し、オーダー受注

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